一般的なタオルは、シタ糸、ヨコ糸、パイル糸で構成され織り上げられます。
これらの糸の組み合わせによってタオルの柔らかさやボリューム、耐久性、吸水性等の機能が変化します。紋織タオルには職人が培ってきた長年の経験から導き出した厳選された糸をそれぞれに使用することで、バランスの良い高品質な今治タオルに仕上がっています。
タオルの紋様の白地部分には日本国内で紡績された甘撚り糸(撚りを甘くした柔らかい糸)を、色糸部分には紋様が際立つ双糸(2本の糸を撚り合わせた糸)を使用しており、タオルのやわらかい風合いとともに繊細な柄を表現しました。
用途目的を踏まえ、糸を使い分ける職人の技術ノウハウを活用し、タオル、タオルケットなどそれぞれの生地をつくりわけております。
※タオルケットの紋様部分には双糸を使用しています。
愛媛県北部に位置する高縄山系を源流とする蒼社川の伏流水や、石鎚山系の地下水は極めて重金属が少なく硬度成分も低いため、タオル生産過程において、晒しや染めなどに非常に適した良質の水であると言えます。こうした水質の水は、綿糸や生地の白度や発色、やわらかさと大きく関係します。
こうした良質な水で糸を晒し染めすることにより、生地にしてからの染晒しでは出せない、綿糸が本来持っている特質(柔らかさなど)を引き出した良質なタオルをつくることが出来ます。
世界的には、一部高級品を除き、原糸がそのままシタ糸、ヨコ糸、パイルとして織機にセットされ、タオル生地として織り上げた後に、晒し(精練漂白)をし、染色・プリントして縫製仕上げするものが多いようです。これに対し、紋織タオルは先ず糸を晒し(精練漂白)た後に染めて、タオル生地に織り上げ、糊を抜き、縫製仕上げをした、先晒し先染のタオルでそこに違いがあります。
今治で生産されたタオルと他のタオルとの違いは糸や生地を晒し、染める水の質が、決定的に違うということもあります。
ジャガードとは、シタ糸とパイル糸を1本1本独立してコントロールし、針数と糸の密度の範囲内で複雑な柄や模様を出す装置です。80年代後半頃までは、糸を1本1本上下させる信号を送る紙のカード(紋紙)の大きさや重さの制約があり、複雑な柄が表現できないドビータオルが一般的でした。その後、コンピューターで作成した柄データの入ったフロッピーカードで動くジャガードカードのコントロール(ダイレクトジャガード)装置が普及し始めたのをきっかけとして、ジャガード機械の高速化が進み複雑な織柄を表現できるジャガードタオルの生産がさかんになりました。
今治の目前に広がる海は、瀬戸内海の中でも島の多い海域です。海面に多くの島々が浮かぶ、おだやかで美しい眺めを持つ一方、潮が満ちて引く際には渦を巻き潮の流れが速く海中から潮が湧きあがる複雑な潮流を引き起こす海の難所が数多くみられます。今治とその沖の大島との間を隔てた水域においては西の斎灘(いつきなだ)と東の燧灘(ひうちなだ)とを隔てる来島海峡があります。
今治謹製 紋織タオルの紋様は、日本古来の唐草文様と来島海峡の荒波を連想させる波文様を手描きで描きおこし、手描きの不規則な曲線をジャガード織りタオルの特徴である美しい織柄で表現しております。
「今治謹製 紋織タオル」は愛媛県の今治でひとつひとつの工程に心を配り、糸からタオルへと仕上げられています。タオルができる最終の縫製仕上げの工程はタオルにとって、長く使っていただく為と安心・安全のメッセージをお届けする大切な工程です。
長年の経験を積んだ職人がタオルの左右のミミという部分を縫製した後、丁寧に一枚一枚はさみを使いタオルの大きさにカットします。
タオルの上下のヘムという部分も一枚一枚、職人の手によってミシン縫製されます。タオルの下側のヘムには今治謹製のネームが職人の手により、リズムよく、音楽を奏でるように縫い込まれます。このネームには今治の歴史と職人たちの技術をお詰めしたこのタオルをお使いいただける皆様へ、変わらない品質と安心・安全を約束する想いが込められています。